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Cro.netの住人、徒然なる日々
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 突然だが、昔話をしようと思う。
まぁ、これはあれだ。何時も通りの私の思い付きって奴だ。
飾遙子って人間って奴、昔から良くこうやって、人を困らせたりしていたそうだから。まぁ、気にしないでくれ。


あるところに、全てを失った一人の少女がいました。
全てと言うのは、あまりにも大げさかもしれません。
家は、代々続く貴族の家系。彼女の周りには常に数十人のお手伝いが付いて回っています。何不自由なく生きていくことが出来ます。
しかし、それでも彼女は全てを失ったと云います。
彼女は、音楽に関する素晴らしい才能を持っていました。
彼女の歌声は、鳥の囀りのように美しく、彼女の指の奏でるピアノは、まるで水面を歩く白鳥のように優雅で繊細でした。
彼女の父であるご主人様は勿論の事、偶にしか来ない庭師ですら、彼女の音楽を聴き、そして耳を揃えて云います。
彼女は、将来、世界的な音楽家になるだろう、と。
彼女は、決してそういう浴俗的な考えで、音楽を奏でている訳ではありませんでしたが、自分の音楽で、世界の人を助けられるならと純粋な願いを持っていました。
しかし、その願いは叶えられる事は無かったのです。
不幸、そういうしかありませんでした。
彼女は、初めての音楽会へ行く道で、事故にあってしまったのです。
そして、彼女は美しい歌声を響かせる喉と優雅で繊細な指先を同時に失ってしまったのです。
彼女は絶望しました。夜な夜な彼女は声にならない声で啜り泣き、動かなくなった指で涙を必死にふき取ろうとしていました。
それは、とても見ていられるものではありませんでした。
彼女の両親は彼女を励まそうと、必死の努力をしましたが、彼女は元気を出してくれません。
それでも、彼女の両親は、彼女の為に努力を惜しみませんでした。
そして、第二の不幸が起きたのです。
彼女の為に、全てを捧げる思いで努力をしてきた両親は、疲労で倒れて、そのまま亡くなってしまいました。
両親の死を知り、彼女はそれから、泣く事を止めました。しかし、泣く事を止めた彼女はまるで人形のようになってしまいました。
日かな一日、ぼんやりと外を眺め続け、お手伝いが食事の時間ですと言うと、食事を食べ、寝る時間だというと、ベッドに入って眠る。そしてまたぼんやりと外を眺める。
まるで、魂が抜けてしまったみたいです。
全てを失った少女は、自分の魂ですら失ってしまったのかもしれません。
そうして、月日が流れたある日、彼女が何時も通り外を眺めていると、そこに一匹の妖精が舞い込んで着ました。
「私は、貴方の願いを叶えるためにきました」妖精が云います。
「私は何にでもなることが出来ます。貴方が願うものに変わることが出来ます。貴方の喉になり、美しい歌声を出すこも出来ます。貴方の指になり、優雅で繊細なピアノを奏でることも出来ます。貴方の両親になり、貴方を暖かく包むことも出来ます」
そして、妖精は彼女の周りを舞いながら、歌うように彼女に聞きました。
「私は、貴方の何になりましょうか」と。
彼女は、定まらない目線を漂わせながら、動かない指を必死に自分へと向けて、答えました。
「―――」


私は、夏の暑さにウンザリしながら、目を覚ました。寝ていながらにして、ウンザリしているのはたぶん、目に当たる日光が夢の中で、光る親父のハゲ頭として、出てきたからだ。
「親父、スゲェ頭光ってるな。もうそこまで光ってると芸術的だぜ」夢の中で私がそう言うと、親父は、そうか、と笑いながらさらに脂ぎったハゲ頭を光らせた。「うわっ、眩しいよ、親父。ちょっと止めてくれ。目が潰れちまう」
「目が潰れちまう~……」
これが、今日と云う日を飾る私の第一声。
とても素晴らしい一日が始まりそうな予感むんむんだ。
「早朝は、気分が優れないようですね」
そう云いながら母が、紅茶を私のカップへ注いだ。母のその言葉には一切、心が篭ってなく、芸能人の声優初挑戦と同じような下手なイントネーションが耳に付く。明らかな社交辞令は気分を害する。しかし、この母はその事に気付いていないのだ。そうやって、教育されてきたのだろう。それ故にこれからもその事に気付かないで生きていくのだと思うと、少なからず同情の念を抱いた。
もちろん、その念はやはり、少なからずだった訳で、あの忌々しい紅茶の香りを再び嗅いだ時には、すっかり忘れてしまっていたが。
この家は、朝食と言ったら、洋食で決まりらしく、私は、朝食に湯げ立つ米と味噌汁を今でも夢見ている。
「悪い夢を見たんだよ」
私は、顔を顰めながら、紅茶の注がれたカップを受け取る。
「あら、それは可哀想だったわね」
母は、口に手を当てる。何時もながら大げさなものだ。
母はどうやら私が顔を顰めたのは私が夢を思い出したからだと思っているらしい。しかしそれは違う。私が顔を顰めたのは、紅茶の匂いを嗅いでしまったからだ。私という生き物は生まれてこの方、紅茶という液体を飲み物だと認識できないでいる。昔の日本人は外国人が飲むその垢い液体を、血だと勘違いして大騒ぎになったらしいが、それに似ているのかもしれないと思う。
私は、垢いものを口にすることが出来ない。
朝食のパンには、もちろんイチゴジャムでは無く、マーマレードだし、卵にも、ソーセージにもケチャップをかけないで、そのまま食べる。
私は、何時も通り、すでに食べ飽きた、甘ったるいマーマレードをパンに塗り、味の薄い卵とソーセージと一緒に一気に口に頬張った。そして、口に広がる味を押し流せないまま、紅茶に手を付けず、「ごちそうさま」と言って、足早にテーブルから離れた。


*******************************
だから、絵を描く時間が(以下略)

と、まぁそんな感じで水曜日です、水曜どうでしょうです。
なんというか、今更といえば今更なんだけど、うん、つまり僕が横から見てたのは、死の行進だったわけですな。まぁ更新されるのはデータの方だけれども……あれに参加するのかな、うん……がんばるか、がんばるしかないのか。

とまぁ、そんな感じで小説二回目です、今回は短め、なんせ序奏で書くの諦めたやつだから。
なんだろ、これは乙一とか西尾維新とか佐藤裕也とかその辺にはまってた(影響受けてた?)時に書いたやつだった気がする。最初の昔話だけ書いて、そんでじゃ小説にしちまえって感じですぐに挫折。何書きたかったかも覚えてない。まぁそんなことしょっちゅうさ。
てな、感じでオヤスミ~
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プロフィール
HN:
川島ラタ
年齢:
37
HP:
性別:
男性
誕生日:
1986/05/30
職業:
大学生
趣味:
哲学的妄想
自己紹介:
同人サークル『あす☆なろ』の相方兼、『あす☆なろ』サイト、Cro.netの運営をやってます。
あと絵とかだらだら描きます
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